以上、オートポイエーシスに関して愚痴と言われても反論出来ないような考察・ 私論を展開してきた。愚痴に近くなるのは、この理論が広く様々な領域で応用 されているという現状故に重要であるという思いを抱かせながら、その内容が 凡人にとって非常にイメージが困難であるからである。
余りに難解なため本稿では記述することすら出来なかった概念は数多く在る。 自己言及性の自律的発生、カップリング、オートポイエーシスの複合体として のオートポイエーシス、観察者との相互作用など、この理論の中では様々なキー ワードが嵐のように現れてくる。しかし、現状ではそのどれ一つとして、凡人 には明確にイメージ出来ない。なぜ出来ないのか、その本質が何らかの形で与 えられた時、そして理解のステップ自体の進行を眺めた時、オートポイエーシ スの正体が掴めるかもしれない。