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前章においてオートポイエーシスの概観を示したつもりであるが、このまま
では単なる不可解な言葉の羅列であることは否めない。オートポイエーシスに
ついて凡人が何かを記述しようとしても、言葉の羅列にならざるを得ない。な
ぜそうなってしまうのか、それを本章において少しずつ明らかにしていきたい。
その前に、オートポイエーシスの構
想の骨子として河本が挙げている項目を記しておく[6]。
- システムの要素の集合を決める際に、システムの作動の側から決めてい
くこと
- システムの作動は、システムの作動の初期条件に先立つこと
- システムの作動は、それ自体を継続するよう為されるだけであって、そ
の作動によって作り出される副産物を製作しようと目指しているのではない
こと
- システムの作動において、システムそのものにおいて生じていることと、
その事態を観察者が判別していることとは明らかに異なっていること
Tatsuya Nomura
Fri Aug 22 19:05:39 JST 1997